第4章 告白
『絶対に言わない!』
その顔があまりにも彼の余裕を表していて、私は「正直に答えるものか」と対抗心を燃やしていた。
降:「そんなに怒らないでください。ミア。せっかくの素敵な顔が台無しですよ?」
さらに歯の浮く言葉を重ねてくる彼に、私は早々に白旗をあげた。
『零さんには、敵わない』
降:「そうですか?」
『そうです』
これ以上話を続けていると、私の本音をさらに曝け出しそうになるので、私は強制的に会話を終わらせる。その気持ちに気づいたようで、零さんもそれ以上は聞いて来なかった。
「そういう気遣いができる所まで、本当に敵わない」と思いながら、私は腰に回された彼の手を強く握りしめた。
降:「ミア、そろそろ起きますか?」
腰に回していた片方の手をゆっくりと離し、零さんは私の頭を撫でながら尋ねる。
『ええ。その前に伝えておきたいことがあるの』
降:「何ですか?」
私は昨晩から決めていた事を彼に伝えるべく意を決し、零さんが腰に回しているもう一方の手を離して彼と向き合う。
『潜入する前にね、赤井さんと2人で会ってもいい?』
降:「ええ、構いませんよ。ただ無粋かと思いますが、理由を伺ってもいいですか?」
『大丈夫。貴方は私の大切なパートナーだし、私の我儘を許してくれているから、知っておいて欲しいの』
降:「そう思っていただけるのは、嬉しいです」