第3章 偽装 ★
『や……だめ……』
室内に、彼女の甘い声が響く。2日後に組織への潜入が迫っていることをいいことに、「さぁ、今から始めますよ」と、僕は彼女をベッドに誘った。最初こそ強がりを言っていた彼女であったが、今はその魅惑的な瞳に涙を浮かべながら、押し寄せる快楽に必死で耐えている。
降:「だめじゃないでしょ?ミア。ここはこんなに濡れているのに」
『言わないで……零さん』
降:「違いますよ。バーボンです」
そう言いながら、僕は彼女の膣内へ入れた指を2本へ増やし、感じる部分を探るように動かし続ける。
『んぅ……れい……だめ……溺れちゃう』
降:「っつ…?!」
不意打ちに僕の本名を呼び捨てにする彼女。その声があまりにも濡れていて、僕は指の動きを一瞬、止める。「このまま零と呼び続けてもらったほうが、どんなに幸せだろう」と僕は思った。しかし、今は任務。彼女が「バーボンの恋人」として完璧に潜入するのが最優先だ。その為にも、まずは彼女がどんな時でも僕のことを「バーボン」と呼べることに、慣れてもらわなければいけない。
降谷零としての欲望を押し殺すために、僕は自らの唇を噛んだ。そして「溺れているのはこっちだ」と自嘲気味に笑い、指の動きを再開させて僕は意地悪く彼女に「バーボン」と呼ぶことを求め続ける。