第3章 偽装 ★
2度目の僕からのキスは、彼女を驚かせることはなかった。本当に信用しきっている。
それを確認してから、僕は彼女に問いかける。
降:「ミアさん。僕が「仕事以上のパートナーになっていただけませんか?」と言ったことを覚えていますか?」
『ええ』
降:「実は今回、貴女を「バーボンの恋人」と偽装して、潜入させようと思います。RUMはハニートラップを得意な女性を欲しがっているのですが、僕が凄腕のハニートラッパーをたまたま見つけて連れてきたとなると、必ず貴女をNOCと疑います。もしかしたら、僕へも疑いを向けるでしょうね。貴女みたいな凄腕は、簡単に見つかるわけがないですから」
『確かに』
降:「そこで組織の疑いの目を逸らすために、貴女は恋人である僕が「組織に入れよう」と、前から仕込んでいたことにしようと思います。そのチャンスが今回、巡ってきたと。幸いにも僕の実績は認められているので、貴女の能力がずば抜けていることは疑われないはずです」
『なるほど。それで仕事以上のパートナーというわけだったのね』
降:「ええ。そこで疑われないためにも、僕は今から貴女を本気で愛したいと思います。そして、貴女は僕から学んでください。赤井を落とす方法を」
『さすが!一石二鳥ね』
僕の提案に素直に感激する彼女。僕はその姿を見て、密かにほくそ笑んだ。