第2章 それぞれの思惑
喫煙室の手前についた僕は、シュヴァルツさんと彼女へ声をかけずに様子を伺っている。
彼女は、赤井と話していた。こちらから彼女の表情は読み取れないが、赤井が優しく彼女の手を撫でたことを僕は見逃さなかった。
シ:「やれやれ。あのPrinzも大したものだなぁ」
と冗談めかした言葉を口にしながら、シュヴァルツさんは彼女へ声をかける。
シ:「ミア。探したよ。」
シュヴァルツさんの声に気付いて振り返った彼女は、少し頬を赤めていた。
どうやらシュヴァルツさんが言っていたことは、冗談とは言い切れなかったようだ。
僕は「絶対にあの男には負けない」と密かに誓いながら、彼女と挨拶を交わした。