第2章 それぞれの思惑
降谷さんは、その完璧な笑顔に一瞬だけ「驚き」の表情を見せた。
しかし直ぐに、その表情を戻して握手している手にもう片方の手を添えながら
降:「零とお呼びください。」
と返した。
『零さん、素敵なお名前ですね。響きが心地いい』
降:「光栄です。あなたのような方に褒めていただけるなんて。」
『ご冗談を。あのそろそろ、この手を?』
降:「ああ、すみません。つい。」
と、完璧な笑顔を照れ笑いに変えながら、彼は私の手をそっと撫でてから、その手を離した。
『この人も??』と疑問に思いながら、私は目の前に立つ降谷さんの真意を探り始める。
その様子に気付いたボスは、私に加勢する。
ボス:「ミア。私はここで失礼するよ。今後の打ち合わせもあるだろうから、この後、降谷くんと食事したらどうだい?もちろん、降谷くんの予定次第だが。」
『ボス、Danke!』と思いながら、私は降谷さんの様子を伺う。
降:「ぜひ。むしろ、僕からお誘いしようと思っていましたから。」
『決まりですね、零さん。美味しい魚が食べれるお店をお願いしたいわ』
と、希望を告げながら、私はこの後どうやって彼を探ろうかと思案し始めた。