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荼毘 裏夢 短編

第1章 荼毘 裏夢


の表情は疲れもあるが、荼毘が人を殺す所を見てしまった悲しさもみえる

「あいつらは要らない奴らだ。俺がやらなくても社会に殺されてたさ。それよりお前が無事で安心したよ」
人を焼き殺したのに優しい笑みをに見せる。

嗚呼、なんて酷い夢。____そう思い視線を落とす
「どうしたんだよ?どこか痛むのか?」

「燈矢くん……足もう歩けるよね?……もうここにいる理由はないよね。」
「……。」

その言葉を聞くと立ち上がり玄関に向かう荼毘。
どんな表情をしているかは、わからない。

「世話んなった。」


扉が閉まる音が聞こえる。


ベッドに横になり天井を見つめ涙が溢れ出す。
頬の痛みでは無い。襲われる恐怖ももう無い。


___「私は、轟燈矢が好き。燈矢くんが好き。」そう口に出すと涙はより溢れる。

好きな人の罪を私は一緒に背負えない。
変わってしまった燈矢くんを支えれない。
人を平気で殺す燈矢くんを見て怖くなった。
人を救う私と真逆の彼を私は、救えない。
価値や倫理観なんてものじゃない。もっと複雑で深くて救いがない。


垂れる涙は耳に落ち、目を閉じれば音がどんどん聞こえなくなる。



_______





荼毘が出ていってから4週間。
荒んだ日を丁寧に日常へ戻す。
あの日から荼毘を思い出し夢に出る。
あの日常を続けている自分が常にいる。
眠れず深夜のベランダで静かに揺れる星を見つめる。





無音の世界に、ドアの扉を叩く音が聞こえた。




「……?」

こんな時間に誰だろう、居留守を使おうかと考える
だが、放っておけなかった。好奇心か期待か、望みか____。

チェーンをかけて鍵を開けドアを少し開く。

「なんで起きてるんだよ…」
ドアの前に、開いたドアに嫌気がさすような表情をした荼毘が居た。驚きチェーンを外すと、荼毘はドアを掴んで勢いよく開け、の手からドアノブが離れる。

またボロボロの荼毘。
血は出てないが擦り傷や浅い火傷が増えている。

「燈矢くん、どうしt」
「…」
の言葉を切って強く抱きしめる。少し苦しいほどに。

「、俺に殺されてくれ。お前のせいで俺の大義が揺らぐんだ。俺の中で死んでくれ…」
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