第1章 荼毘 裏夢
深夜。足の痛みで起きると、ソファで寝ているが魘されているのが聞こえる
「おい、……おい大丈夫か?」
身を上げて問う。ソファの背が死角になっての姿が見えない
「くそ……」
腕に力を入れ上体を這い起こす。松葉杖を掴んで立ち上がり、に近づく
は大きなソファで小さく蹲り震えて泣いていた。小さく「助けて…」と言っている
の肩を掴んで揺さぶって起こす
ゆっくり目を開け掴まれた肩を見る
「燈……矢くん。」
落ちる涙が月に照らされ輝く
「魘されてたぞ。」
「ぁ、……ごめんよ、起こしちゃったね」
目を擦り涙を拭き取る
「起こしてくれてありがとう」
申し訳なさと悲しそうな顔で笑うのが暗い部屋で薄ら見える
「……、」
鎮痛剤を飲み、ベッドに戻りに背を向け横になる荼毘。
「……寝てる燈矢くんにこんな事言うのも変だけど、私の両親、中学の時にヴィランに襲われる人を救って死んじゃったの。子供の成長を見守るのが親なのに、夫婦揃って死んじゃ意味ないよね。」
「その場に私居たんだ。トラウマや悲しい過去って永遠に忘れないものだけど、私の個性のおかげで、その日のテレビで見た気温や星座の順位。差し込んだ光が、どの角度で2人の血を照らしたか。全部全部覚えているんだ」
「思い出さなきゃいいんだけどね、……夢で追憶させられるんだ。見たくもない夢を何百回も変わらない過去を何度も見せられ、抗う自分がいるんだ」
救いのない個性だよ。___そう言って布団を深く被る。
もちろん、背を向けていたが全て聞いていた荼毘。
救いのない個性…ね。
______
早朝アラームの音で目が覚める
ソファに目をやると、んーーッ、と天井に伸ばされる細い手が見える
「おはよー、燈矢くん…」
目を擦り眠そうな
「私今日バイトあるからお昼過ぎには帰ってくるから、朝ごはん用意してくね」
洗面所でスッキリさせると台所に立ち少し眠そうに料理を始める
出されたのはサバの味噌煮
2日連続サバ。
「……」
無言で鯖の切り身を見る荼毘
そして、箸を進める
近所の野良猫に似てるなーっと思い、身支度を整える。