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荼毘 裏夢 短編

第5章 荼毘 裏夢 幼なじみ


別日、ハイエンド結合手術。
氏子の愛す個体達を結合し、より強い個体を作る
「父さん、縫合70%終わったよ。さすがに血を使いすぎたから休むね」
ビデオ通話でハイエンドの容態を見せ、氏子に報告する。
上機嫌の氏子を見て、嬉しく微笑む。


別個体同士を合わせるには生物学的限度があるがの個性を使えば産まれながらの組織の様に繋がる。しかし大きな個体ほどその分糸が必要になる。


「疲れた……」

強化ガラスで密閉された手術部屋。ゴーグルを外し、座って天井を見つめ、血で真っ赤な手袋をつけたまま手をブランと下げる
血を使いすぎた。集中するとダメだな……___目を瞑る。マスク越しの鉄の匂いより疲労が先をゆく。



ハイエンドの手がビクッと動く気配がした。



「、…?」

アンバランスに繋ぎきってない個体がビクビクと脈を打って血を吹き散らす。

「なんで、意識が…」
椅子から起き上がり部屋から出ようとするが、床に飛び散った血に足を取られる
振り返ると苦痛に耐えるハイエンドの振りかぶった腕が目の前を暗くする。

「ぁ。……死んだ。」

咄嗟に懐かしい顔が走馬灯のように浮かんで目をグッと瞑る。



その瞬間、誰かに首根っこを掴まれ思いっきり部屋外に引っ張られる感覚。
ハイエンドの振りかぶった拳が床をヒビ割れさせる。

「大人しく薪になれ。」

荼毘が青い炎を操作し弱体化しているハイエンドを焼き殺す
燃え悶える様子を見れば部屋の扉を閉める。
透明な壁で囲われた部屋の中の空気が無くなれば火も消え真っ黒の炭が残る。

「燈、矢…」

「氏子さんから、ハイエンドの新作ができるって言うから来て見りゃ、襲われてんじゃねーか」

「ぁ、…ありがとう。」
「どーいたしまして」

スマホからビデオ通話を起動しに氏子に報告する
「父さん、ごめんなさい。父さんの大切な子達を殺しちゃった。結合から癒着が早くて麻酔が足りなかったみたい。ごめんなさい……。」

氏子に報告すると残念そうに涙を流していた。氏子にとってハイエンドは子供たち。「わかった。また頑張ろう」と、先程殺したハイエンド2体の写真を握りしめて椅子に座る後ろ姿が映る。
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