第1章 荼毘 裏夢
鍵の開く音が聞こえるとが買い物袋を持って帰ってきた。
「ただいまーぁ、本当に大人しくしてたんだ」
荼毘がベッドで安静にしている姿に少し驚く
「お前が動くなって言ったんだろ」
悪いかよっと不貞腐れる荼毘。
たしかに。と笑い、夕飯を作る準備をする
「俺魚嫌い…」
袋から取り出された魚を見つけた荼毘が言う
「怪我人がワガママ言わない、今の燈矢くんにはビタミンDが必須なの。」
魚嫌い、変わらないね。__
荼毘にも聞こえない声で呟き、そのままサバの塩焼きと和え物を作り始める
「あ、トイレ行けた?」
そういえばと思い出したかのように聞く
「床もう少し綺麗にしろよ隙間にホコリ付いてんだよ」
這いつくばって行った事を皮肉で答える。
その皮肉に笑う
「掃除しておくね笑、そうそうこれ」
そう言ってクローゼットから松葉杖を出す
「は?、なんで初めなら出さねーんだよ…」
「だって渡してたら燈矢くん借りパクして、鍵も閉めずに出ていくでしょ?」
「怪我人に無理させんじゃねーよ」
そのやり取りが楽しくて笑う
痛い中壁と床這いつくばって移動してベッドに戻った苦労を思い出して腹が立つ荼毘。
しかしの予想通り松葉杖があれば逃げ出していた可能性があるのも確か。
数十分後、組立式の小型テーブルを荼毘のお腹の上に設置し、できた魚定食を持ってくる
「はい、どーぞ。残してもいいからね」
見られながらじゃ食べずらいと思い食事を置くと台所に戻る
「……、」
いただきますも言わずに黙々と食べ始める荼毘
見えずとも、箸や食器の音に安心する