恋はどこからやって来る?/ 鬼滅の刃(短編・中編)
第20章 令和の師範と継子 ①/ 🔥✳︎✳︎
カチャカチャとベルトを外すと、彼は小紫色(こむらさきいろ ※1)でストレッチ素材のスリムチノパンツを脱ぐ。
そして…
「そんな蕩けそうな顔で見られると、頼めない」
そう言った杏寿郎さんは下着を脱いで、私にピッタリと覆い被さって来た。体同士が密着して、心臓の鼓動が速まる。
彼は私の顔の横に両肘をつくと、その大きな両手で私の頬を包む。そして赤い両目でじいっと見つめて来た。
「すみません…恥ずかしいんですけど…」
この双眸に弱い私は、思わず目と顔をそらす。
「ダメだ、俺をみてくれ」
そう言われると、あっと言う間に正面に位置を戻された。
「…………」
「…………」
2人の間に訪れる沈黙。
ドク、ドク、と心臓の音が伝わっているんじゃないかと思う程、私の胸のリズムが高揚している。
「鼓動が随分と速い」
「当たり前です。あなたとくっつく時はいつもこうな……ん」
キスをされた。
「全く……君はどうしていつも俺を煽る?」
「そんなつもりは全くないんですけど…でも…」
「でも、何だ?」
優しい目。私を愛おしく思ってくれている感情が、雪崩のように胸に流れ込んで来る。
「杏寿郎さんの綺麗な瞳にずっと映してもらえる自分でいたいなあ、と………んん…」
またキスをされた。今度は少し激しめに。
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※1…煉獄さんの誕辰色(たんしんいろ)
渋めの濃い紫色。