恋はどこからやって来る?/ 鬼滅の刃(短編・中編)
第20章 令和の師範と継子 ①/ 🔥✳︎✳︎
「確か宇髄もこのような塗り方をしていたな」
…私が考えていた側から、彼はこんな事を言ってくる。本当に自分の思考は全部筒抜けなんじゃないだろうか。
「そうでしたっけ?私はこの雑誌に載ってたのを参考にしたんですよ。ほら、ここ見てください」
私は側に置かれた美容雑誌をまた手に取り、該当のページを彼に見せる。するとどれ…と覗き込んでくる杏寿郎さん。
「ふむ、確かに君と同じ塗り方だ…」
雑誌と私の指先を見比べる彼。
「でしょう?」
お願い、これ以上突っ込まないで……!その願いを必死に込めて彼を見ると、フッと笑って頭をよしよしと撫でてくれた。
「…そうだな」
………良かった、話そらせた!
とは言いつつも…
杏寿郎さんは洞察力がとても鋭い。彼に限らず、柱をしていた先生達はみんなそうなのだけど、本当に人の事をよく見ている。
今もしぶしぶ納得してくれた感じだと言う事は間違いない。
でも!雑誌を参考にしたのは紛れもない事実。
私は正しい事を言った。そうだ、そうだ。
「七瀬…」
「はい……ん..」
杏寿郎さんが私を呼んだかと思うと、啄む可愛いキスを1つくれた。
「どうしたんですか?」
「いや…君が困っている様子がかわいくてな。こうしたくなった」
…………ほら。
やっぱり彼は私の考えなんて、何でもお見通し。
前世も今世もいつだって。
そう、いつだって………私は彼に敵わない。