恋はどこからやって来る?/ 鬼滅の刃(短編・中編)
第20章 令和の師範と継子 ①/ 🔥✳︎✳︎
「ここも毎回可愛くしてくれている」
彼が私の指先に塗られているネイルを、大事な物を扱うように1つ1つ触って確認していく。
「なるほど、俺と君の羽織の色か」
「はい……」
いつも彼と会う時はネイルを塗るようにしている。前世で初めて彼とデートに行った時、とても褒めてくれたのでその名残り。
普段は学校に塗って行かないから、週末が近づくと私の気分が段々上がっていく。
彼に会う高揚感とネイルを塗る高揚感。それが上手く掛け合わさって、浮き足立つ自分がおかしくなる。
“ネイルを塗る時は大好きな杏寿郎さんに会える時”
これを自分の中の合言葉にして、毎日学校生活を頑張っていると言っても良い。
「杏寿郎さんの色は多めにしたんです」
「ああ、確かにそうだな…緋色が6つで、青柳色が4つか」
「はい!」
私の両手には親指、中指、小指に緋色が。人差し指と薬指には青柳色のネイルが塗られている。
この2つの色を交互に塗るやり方はさっき読んでいた雑誌に掲載されてて、かわいいなと思ったので今回初めてやってみた。
後、美術教師の宇髄先生の指先も実は参考にしたんだけど、これは内緒。きっと気分は良くないはずだから。
流石にそれは私もわかる……