恋はどこからやって来る?/ 鬼滅の刃(短編・中編)
第20章 令和の師範と継子 ①/ 🔥✳︎✳︎
「自信でもなくしたのか?」
うっ………相変わらず鋭い。
「はい……。私でいいのかなあって」
包んでくれている掌が、ゆっくりと左頬を撫でる。
「謙虚なのは君の良い所だ。俺もそこは好ましい…」
撫でてくれていた掌が離れると、今度はその手で顎を掴まれた。そして彼との距離が少し縮まり、杏寿郎さんの端正な顔が自分の眼前に迫る。
長い親指が私の唇をそっとなぞった。
「君はよく自分を10人並みと言うが…そんな事は決してない。とても可愛いし、愛らしい。俺は心からそう思っている」
「ん…」
彼が柔らかいキスを1つ私にくれると、おでこをコツンと私のおでこに当ててくれた。口内が彼の飲んでいたコーヒーの香りでいっぱいになる。
「本当に…?」
「こんな時にウソをついてどうする?……同じような会話を確か前世でもしたな」
ふふ、そうだった。
「はい」
「それに何と言っても………」
彼の顔が私の右耳に移動すると、そこにもキスを1つ落とされた。
「ん…ダメ…」
「俺の為に綺麗になろうとしてくれている君が、たまらなく愛おしい」
「どうしてそれ……」
「先程から美容雑誌を食い入るように読んでいる。違うのか?」
「いえ……合ってます……」
まいったなあ。そんな顔してたんだ、私…。
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※ 夢主が読んでいた美容雑誌……マキア
私も3ヶ月に一度購入して読んでいます。