恋はどこからやって来る?/ 鬼滅の刃(短編・中編)
第66章 七支柱春药 / 🌫️・💎・🌊・🐍・🍃・🔥・📿
「お前、顔が真っ赤になってんぞ」
「なってないです、気のせいです…これは…今日暑いから」
「大分苦しい言い訳だなー。首まで真っ赤にしやがって」
その通り、苦しい言い訳だった。
七瀬は隊服以外の天元と対峙するのは、これが初めてだった為だ。
先輩隊士や後輩隊士が「街中で音柱を見かけた。役者かと勘違いした」や「化粧してる姿も凄く良いけど、髪をおろして着流し姿で歩いていると雅って感じで見惚れた」と言った感想をこれまでに数回耳にした。
確かに顔立ちは申し分がないぐらい整っている上官だ。
身長も高く、体も大きい天元だが、本人の気さくな人柄から悪い噂をとんと聞かない。
『でも、お嫁さん三人でしょ? みんなかわいくて胸も大きいって…それだけじゃなく、性格も良いなんて出来過ぎだよ』
熱くなった顔を両の掌で懸命に仰ぐ彼女だが、自分が焦る様子を見ている天元に心臓が跳ね上がった。
「沢渡は一見じゃじゃ馬っぽいけど、内面はそうじゃねえよな」
「そんな事…ない、です」
「それそれ。そー言う所だよ。他人から見て明らかなのに、自分では絶対認めないってやつ。ま、俺は嫌いじゃねーけど」
「…! ちょっと! いきなり来ないで下さい! 近いです」
いつの間に距離をつめたのか。
自分が恥ずかしさを必死で押し殺そうとしている間に、真横に座っている天元に慌てる七瀬。
「お前の恥ずかしがる姿、もっと見てぇもん。ふーん、まつ毛は女らしいな。バサバサに長いし、上に上がってっし。この口元のほくろとか、良いじゃん」
「えっ、あの…」
大きな指が自分の顎に触れた —— と思った瞬間、唇の近くを親指の腹で柔らかく撫でられた。
「口吸いしたくなるぐらい、柔らけえのな。お前のここ」