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恋はどこからやって来る?/ 鬼滅の刃(短編・中編)

第66章 七支柱春药 / 🌫️・💎・🌊・🐍・🍃・🔥・📿



すうすうと穏やかな表情で眠る無一郎は、十四歳と言う年齢相応に幼い。

自分より四つ下の隊士で、九人しか称号を与えられない【柱】である無一郎。

「無一郎くん、って最後にもう一度呼ばせてね。あなたの大切な物を貰っちゃってごめん…って終わった後でこんな事言ってもどうしようもないかな」

七瀬は霞柱の髪をそっと右手で掬った。
つい先程まで触れていた柔らかな長髪が、サラサラと彼女の指を通り抜ける。

「本当に羨ましいくらい手触りが良いね。顔も綺麗だし…」

先程と変わらず穏やかな表情で眠っている無一郎は、起きる様子もなく、変わらず横になったままだ。

「じゃあ私、もう行くね。任務で会えたらまたその時に。今夜の事は私の中だけの秘密にするから」

「失礼します」最後は部下らしく囁き声ではあるが、挨拶をした七瀬は手早く衣服を身につけ、部屋から退室した。

暗い廊下を静かに歩いて行き、玄関についた途端後ろを振り返る七瀬。たった二時間程の時間であったが、無一郎と心の距離が近づいた彼女は、霞柱邸を去るのにほんの少し躊躇をする。

『霞柱が私に心と体を許してくれたのは、あくまでも血鬼術のせい。私の力じゃない。割り切らなきゃ。さっきそう決めたじゃない』

視線の先には二足の草履が見えた。
一足は無一郎の物で、もう一足は七瀬の物だ。一度瞼を閉じた彼女は出来る限り無一郎の草履を視界に入れないようにし、草鞋をはく事に集中した。

日輪刀を左腰に差し、玄関扉に手をかける。
静かに開いた七瀬はもう振り返る事なく、外に出た。向かうは大きな門扉である。

霞柱の記憶には残らない思い出と共に、七瀬は無一郎の元から去って行った。


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