第66章 七支柱春药 / 🌫️・💎・🌊・🐍・🍃・🔥・📿

「ずっと触れてよ。今夜だけじゃなくてこの先も」

「……」

どうなのだろう。
七瀬は無一郎にはっきりと返答出来なかった。龍の鬼からは今自分がかかっている血鬼術の効果がいつまで続くかを聞いていない為だ。

「？ どうしたの」

「あ、ごめんね…」

あなたの大事な【初めて】を自分が貰うのだなと思うと、少し感慨深い —— そんな事を無一郎に言う。

「僕は初めてが君で良かったなって思ってるよ。こんなに気持ち良いなんて多分七瀬じゃないと味わえなかったんじゃないかって思うし」

「そう？ 役不足じゃない？」

「…そんな事ないよ」

無一郎は七瀬の柔らかな唇を求めて、己の唇をそこへ性急にあてた。拙いけれどひたむきな口付けは七瀬の心に充分響き、そして体の温度をも上昇させていく。

「はあ、むいちろ、く…ちょっ、くる、し」

「ごめん…」

はあと大きく息を吸い込んだ七瀬は、そのまま深く息をはいた。スウハアと複数回繰り返しながら、右の掌を心臓の位置に当てて呼吸と気持ちを整える。

「でも…気持ち、良かったよ」

「そう？ なら良いんだけど」

やや不安そうな表情を見せる無一郎に、七瀬は柔らかく笑いながら小さな口付けを彼に贈った。

ち、ちうと軽く触れ合わせて吸い上げると、彼の髪に手を当ててとかし始める。

サラサラと指通りがよい無一郎の髪は艶もよく、思わず口元に笑みが宿る七瀬は、指に髪をまきつけては解く —— そんな行為を繰り返した。

「ふふ、ほんとにサラサラな髪だね」

「人の髪で遊ばないでって言いたい所だけど…君は特別。もっと触って、色々な所を」

「う、うん」

七瀬の指に触れるだけの口付けが落ちた後、そこへきゅっと無一郎の手が絡む。