第66章 クリスマス🎄お題夢 / コミュニティ内で募集
「ここが戸奈さんの病室よ。紅井さんは2つ隣の部屋。寝ている人もいるから、話すときは静かにね」
目の前の扉には『戸奈 海』と書かれたプレートが付けられている。看護師が来た道を戻っていくのを確認し、恵は悠仁の方を振り返る。
「戸奈 海は俺が接触する。虎杖は紅井 華乃の方に行け」
「分かった。なんかあったら連絡くれ」
2人は聞き取る内容の打ち合わせをしてから、それぞれの病室に入った。
紅井 華乃の病室は個室になっており、室内は清潔感のある白で統一されていたが、どことなく古めかしい空気を帯びた白色だった。
小さな花瓶が置かれており、可愛らしい花が生けられている。ベッドサイドに置かれたテーブルには、栞が挟まれた読みかけの小説が置かれているが、今は閉じられている。
「すいませーん。紅井 華乃さーん」
明るく挨拶する悠仁に驚いたのか、ベッドに横たわっていた女性が慌てた様子で身を起こす。儚い雰囲気を持つ少女の瞳が悠仁の姿を捉えた。
「はい、私が紅井ですが……病室のスタッフの人ではないですよね。誰ですか?」
突然の来訪者。警戒するのも無理はない。悠仁もそれは想定済みだ。
補助監督の明から預かった行方不明者の写真を取り出し、紅井 華乃の元へ近寄った。
「俺、呪術高専の1年生で虎杖 悠仁。看護師さんにも話したんだけど、ちょっと人探ししててさ。話聞いてもいい?」
「人探し……ですか?」
華乃は訝しげに眉を寄せる。
「そう。この写真に写ってる人、知らない?」
差し出された写真を覗き込むその顔が一瞬強ばったのを、悠仁は見逃さなかった。けれど、すぐに問い詰めるのは得策じゃない。
情報を引き出せるだけ引き出し、後で恵と合流して作戦を立てる。