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恋はどこからやって来る?/ 鬼滅の刃(短編・中編)

第66章 七支柱春药 / 🌫️・💎・🌊・🐍・🍃・🔥・📿



「あの! 霞柱……今日はお疲れさま、でした。あっという間の鬼の討伐、お見事で……」

「ねえ」

はい、と七瀬が返事をするより前に無一郎が彼女の腕を掴んだ。驚いた七瀬が掴まれた腕を引こうとするが、ピクリとも動かない。

ただ力を入れずに無一郎は柔らかく掴んでいるだけだが、どう言うわけか動けないのだ。

「鬼を倒して、君と二人で歩いている時からおかしいんだ。鬼殺の後は気持ちが昂る事があるから、それかとも思ったんだけど…これはちょっと種類が違う気がする」

「しゅ、種類が違うって…んっ」

無一郎の小さな顔が突然目の前に来たと思った矢先、七瀬の唇にふっくらとしたあたたかな物が一瞬だけ当たった。

ちうと小さな音を響かせた後に離れたそれは彼の唇であり、水色の双眸に浮かんでいるのは静かだが、七瀬を求める情欲だ。

「嫌? 僕とそう言う事になるの」

「そう言う事って……えっと、その」

しどろもどろになる七瀬とは対照的で、無一郎は堂々とした佇まい。

静かになった彼女の反応を了承と捉えた彼は、七瀬の腕を掴んだまま、スタスタと門扉をくぐって行った。

玄関まで続く道に配置された飛び石を踏む度に、鼓動が右肩上がりで上昇する七瀬の体は頭からつま先まで、じわじわと体温も上昇していくかのようだ。

無一郎が玄関の鍵を開けると、上質な創りの上がり框(かまち)が鎮座しており、七瀬の手を一度離した霞柱は、腰から日輪刀を落ち着いた所作で引き抜き、腰掛けて履いている草履を脱いでいく。

突然の展開に頭と気持ちがついていかない七瀬は、無一郎が家に上がるのをぼうっと見ていたが、入りなよと言う彼の声に従い、脱刀したのちに草履を脱ぎ、深呼吸を二、三度繰り返して立ち上がった。


「僕、湯浴みして来るけど君はどうする?」

「え、私はどうって……どこかのお部屋で…お待ちしていますよ」

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