恋はどこからやって来る?/ 鬼滅の刃(短編・中編)
第66章 七支柱春药 / 🌫️・💎・🌊・🐍・🍃・🔥・📿
「叶うとも! ただし一つだけじゃがな」
「たった一つ……」
七瀬はたった一つと鬼から聞いた瞬間、迷いが生じた。叶えたい願いは二つあったからだ。
一つは不老不死でなくとも、簡単に死なない、やられない体になりたい。それからもう一つは鬼殺と関係ない事である。
二兎は追えない為、選ばなければいけないのは二つに一つ。そのどちらも七瀬にとって、とても大事な事である。
「一つだけね、わかった。どうすれば良いの?」
「おお、理解してくれたか! 方法は —— 」
自分の頸を斬った後、そこから流れる血に少し触れれば良いだけだ。そうすれば七瀬はとある特異体質になる、と言って来たのだ。
これを聞いた七瀬は嫌悪感を露わにした。
「えっ? あんたの血に触れるの? 私の体、溶けたりしない?」
「案ずるな! それは問題ない。体質が変わるだけじゃ」
この龍の姿をした鬼は【特異体質】とはっきり言った。一体どんな恐ろしい事になるのか。
恐る恐る問いかける彼女の背中に一筋、冷たい汗が垂れた。
「ある人間達に反応する媚薬体質になると言えば良いかの。お前さん達の隊にやたら強い剣士が数人おるじゃろ。そいつらの事じゃ。嬢ちゃんはおなご故、対象になるのは男の剣士じゃな」
「やたら強い……男の剣士?」
—— 柱の事だ!!
瞬間、七瀬はぶるぶると頭を振って、改めて日輪刀を構え直した。
「え、それって柱達の中から一人だけで…良いんだよね??」
まさかとは思うが。
その一心で七瀬は鬼に問いかけた。彼女の脳内に真っ先に思い浮かんだのは、音柱の姿。
音柱・宇髄天元には三人の嫁がおり、女の扱いにも随分慣れているなと合同任務の時に感じた為だ。
ドキドキと返答を待つ間、七瀬の背中にまた一筋冷たい汗が垂れていく。
「むむ! 嬢ちゃん、そんな簡単な事ではないぞ。全員じゃ、全員!対象者全員とのまぐわいが必要なんじゃよ」