• テキストサイズ

恋はどこからやって来る?/ 鬼滅の刃(短編・中編)

第66章 七支柱春药 / 🌫️・💎・🌊・🐍・🍃・🔥・📿



安藤は、七瀬とあの日街で出会った時と同じ様相であった。

道着姿に草履。ゆるく波打った髪を後ろで一つ結びにしており、丸く大きな双眸が実年齢より容姿を幼く見せる。

「俺が教えるのはね、剣術は剣術なんだけどさ、命のやりとりをする剣術なんだ。だから得物は真剣。あ、これは実践する時だけね。普段はもちろん木刀だよ」

君にその覚悟はある?


覚悟はして来たが、命の覚悟と問われると七瀬は即答できなかった。暑さの中歩いた為、カラカラになった口内だが、安藤の言葉を聞いた彼女の喉がゴクンと嚥下する。

「命の、やり…とりって、死ぬかもしれないって事ですか」

「そう、全集中の呼吸を使用して特別な刀で鬼を倒すんだ」

「全、しゅーちゅう?? それから鬼って、何? ですか。桃太郎に出てくるあの?」

「違う違う、そんな可愛い物じゃない。俺が言う鬼って言うのは人……人間の血や肉を好んで、栄養にするんだよ。人喰い鬼だね」


七瀬は続けて安藤の口から発せられる言葉に、背筋が凍りそうになり、背中にじわっと冷たい汗が一つ流れた。

人を喰う、とは。

それはつまり人を捕食すると言う事だと、段々と脳と体が反応を示す。

「……」

「どうした? 怖くなっちゃった?」

「いえ…平気で、す」

「やっぱり俺、女隊士を育成すんの向いてんのかな」

「えっ、何ですかそれ」

驚く七瀬をここまで来た事を労いながら、安藤は屋内へ入るよう促した。次の日から早速安藤により訓練が始まったのだが ———


「七瀬ー、どうする? 稽古辞める?」
「はぁ、はっ、やめ…ませ、ん!!」

早朝、太陽が昇り始めるのと同時に訓練は開始された。
一番最初に取り組んだのは、基礎体力の向上が目的の鍛錬である。

『ここで根を上げる子はその後続く事が少ないけど、七瀬は問題なさそうだ』

安藤は穏やかな話し方で、優しい印象を他人に持たれがちだが、鍛錬となるとやはり違うのである。

/ 938ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp