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恋はどこからやって来る?/ 鬼滅の刃(短編・中編)

第66章 七支柱春药 / 🌫️・💎・🌊・🐍・🍃・🔥・📿





「えっ? 何それ! どうして兄貴達は良くて、私はダメなの??」
「七瀬!! 【兄貴】じゃなくて【兄さま】でしょう? 言葉遣いはきちんとしなさい」

「はあ〜? めんどくさいなあ」と目の前の人物から指摘されたにも関わらず、彼女は眉間にシワを寄せ、悪態をついて反論した。

七瀬を嗜めているのは彼女の母で、名は春奈。

陽の光に当たると色素の薄さが良くわかる、茶色の髪を玉かんざしでまとめており、切れ長の二重の双眸をキッと娘に向けた後、はあと七瀬に見せつけるようにため息をこぼす。


「剣術なんてやらせるんじゃなかった。博己(ひろき)のように剣も学問もどちらも真面目に取り組むならまだしも…争い事に剣術を使うなんて…完全に育て方を間違えたわ」

「また博己? 母さんはいっつもそうよねー。弟と私を比較してばっかり。もううんざり!!」

はあ、と深く深く大きなため息を同じ頃合いでつく二人。母はそのまま顔を下げたままだったが、七瀬は違った。

「決めた! 私、この家から出ていく」
「ちょっと、七瀬! 冗談言うのはやめなさい」

冗談じゃない、自分は本気だ。
七瀬は憤慨した母を無視し、荷作りをすべく自室に向かう為、厨(くりや)からバタバタと足早に出て行った。


「どうせまたいつものハッタリでしょ。あの子のやりそうな事だわ。あの人にそっくりで嫌になっちゃう」

額に右手を当て、ふうと小さく息をついた春奈は途中で中断していた料理を再開していく。今彼女の脳内に浮かんでいるのは娘と瓜二つの容姿をした自分の夫の顔だ。

今夜の夕食は七瀬の好物のライスカレー。

春奈は作るだけではなく、食べる事が大好きな性分だ。
家事の合間に近所に住んでいる自分の母 —— 七瀬にとっては祖母と共に気になる洋食屋や甘味処に出向いている。

『このにおいを嗅いだら、いつも通り姿を見せるでしょ。あの子も私と一緒で、食べる事には目がないのだから』

そう確信をしていたのだが ——


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