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恋はどこからやって来る?/ 鬼滅の刃(短編・中編)

第65章 恋の継子、二つの蛇に睨まれる / 🐍



「あんな事を言われて、忘れる事が出来ると思うか…馬鹿者め。本当に自分勝手な女だ」

小芭内はため息を一つ、口から吐き出した。実弥に自分の力を最大限まで高めて向かっていく七瀬は、蛇柱の目に眩しく映っていた。

自分が恋慕の思いを抱いている蜜璃と、どこか重なる部分もあったが、あくまでもそれだけだ。
しかし ——

『他人に自分を好きなどと言われた事は今までなかったな。煉獄は幼い頃によく言ってくれたが…』

同性の杏寿郎から言われた「好き」とはまた違った感情が、小芭内の胸をあたたかく包んでいる。

『呪われた血筋の俺を好いてくれた希少な女か…』

“ありがとう”

七瀬にこの言葉が届く事は、きっとないだろう。小芭内は心の中で声なき礼を彼女に告げると、自宅の門扉をゆっくりと開いて屋内に入って行った。












「なあなあ、お前あれからどうなったんだよ?」

「え……何の事?」

「風柱と試合する事になったから、同じ呼吸を使う俺と一緒に稽古したいー!!ってすごい真剣に頼み込んで来たじゃん。結果どうなったか教えて貰ってないんだけど」

七瀬は自分の隣で肉うどんを食している同期隊士の顔を見ながら、ああ…と記憶を引っ張り出す。

使用した木刀が二つに折れ曲がった事、風柱の連撃は暴風雨のように強烈だった事、師範の蜜璃はもちろん杏寿郎や小芭内も自分達の試合を見守ってくれた事。

これらをかいつまんで男性隊士に伝えていった。

「そんな感じかな〜。一言で言うなら風柱めっちゃ強い!! もうそれだけ」

「すっげえじゃん。柱三人が見守る中の勝負なんて羨ましいよ」

ズズズッと肉うどんのつゆを最後まで飲んだ男性隊士は、器を静かに卓へと置いた。

「北村くん、任務した事あるんだっけ? 風柱と」

「あるよ。俺さー我妻ほどじゃないけど怖がりだから、多分”情けねえ”認定されたんじゃないかな?」


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