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恋はどこからやって来る?/ 鬼滅の刃(短編・中編)

第65章 恋の継子、二つの蛇に睨まれる / 🐍




「そう、なんだねー…」
「お疲れさまです!!」
「? どうしたの…? あっ…」

七瀬は北村が突然立ち上がり、後方を向いて頭を下げた事に疑問を持ったが、その理由がすぐに判明し、自分も彼に倣い頭を下げた。

「おゥ…」

二人の声かけに応えたのは、今の今まで話題に出ていた風柱だ。
チラリと視線を合わせただけだが、反応をした彼に北村はややうろたえてしまう。

「なあ、風柱って挨拶に応えてくれんのな」
「ん? それはまあ挨拶したら返してくれるでしょ」

「俺こないだ一緒になった任務で全く相手にしてもらえなかったぜ?」
「ねえ、それなんかまずい事言ったからじゃないの?」

えー……と頭を抱える北村を見ながら、七瀬はきっと幽霊が怖い発言が原因の一つだなと確信する。
それから数分して食事を終えた二人は、店を出る際にもう一度実弥に挨拶をし、帰宅の途についた。

「じゃあな、怪我すんなよー」
「うん、北村くんも。それじゃあね」
「沢渡、あのさ」
「どうしたの?」






『気になってる甘味処に行きたいけど、一人じゃいけないから一緒に行こう、なんて……北村くんってほんと臆病だよね』

恋柱邸に帰宅するまで、七瀬は顔のにやけがなかなか止まらなかった。門扉の鍵を開け、屋敷に入ると庭に人がいる気配がする。おやと思い、行ってみると蜜璃が素振りをしている最中だった。


「おかえりなさい! 怪我はない? 今ね、伊黒さんから届いた手紙を読み直して、稽古内容を考えてたの。それでまずは自分が実践しようと思って。私、七瀬ちゃんと一緒にもっと強くなりたいから……って、どうしたの?」

「師範〜、ただいま帰りました!! 私、本当に師範の継子になって良かったです〜!!」

深夜でも日中の明るさを思わせる蜜璃の笑顔は、七瀬の心と体を癒し、そしてやる気が自然に湧いてくる。
自分を見るなり、抱きついて来た七瀬を一度ぎゅうと受け止めた蜜璃は「湯浴みして、一緒に寝る?」と誘う。

「はい!……喜んで!!」





三日後、小芭内の元へ蜜璃からの手紙が届く。

『沢渡…貴様甘えすぎだろう』

静かな嫉妬の念を抱く蛇柱の首元を、鏑丸がしゅるりと一周回った。



〜終わり〜





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