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恋はどこからやって来る?/ 鬼滅の刃(短編・中編)

第65章 恋の継子、二つの蛇に睨まれる / 🐍



「てめえら一般隊士に簡単に負けるわけにはいかねェんだよ。柱ってのはそう言う立ち位置だからなァ」

「そうだな! 不死川の言う通りだ」

木刀を所定の位置に片づけ終わった実弥は、七瀬が使っていた得物を手に持ち「ギリギリもったなァ」と言いながら、ヒビが入った箇所を親指と人差し指でピンと弾く。

すると —— 折れ曲がっている木刀が二つに割れてしまった。

「お前、俺と同じ呼吸を使うヤツをひっつかまえて鍛錬したんだってなァ」

「ご存じ、だったんですね…」

「…ったく、最近の隊士はホンット情けねェ野郎ばっかだぜ。鬼狩りだってのに、幽霊が怖いとか抜かしやがって…」

気を紛らわす為に七瀬と稽古をした話を、同行していた他の隊士に話していたのだと言う。

「たまたま耳に入っただけだからなァ」

「ふふ、はい…わかりました」

じゃー俺は自主稽古でもするわ、と再び背中を向け、折れた木刀を右肩に担いでその場から去る実弥である。

「本当にありがとうございました! 風柱!」
「次もまたぶっ潰してやらァ」

実弥の顔は見えないし、言葉も鋭い物言いであったが、七瀬の胸は感謝の気持ちで溢れそうだった。

「帰ろうか、私達も!」
「そうですね。今夜も任務ありますもんね」

「では俺も失礼するとしよう!」

蜜璃並びに七瀬はここまで足を運んでくれた杏寿郎に改めて礼を伝え、門扉まで彼を送った後、今度は縁側で帰り支度をしている小芭内に声をかけた。

「あの、蛇柱…本当に色々ありがとうございました」
「私も伊黒さんが書いてくれた指導記録のおかげで、毎日の稽古がとてもやりやすくなったわ! 本当にありがとう」

恋の師弟から感謝の言葉を貰った小芭内。彼は風呂敷の結び目をキュッと締めると、改めて二人に向き合った。

「先日も伝えたが、他でもない甘露寺と煉獄の頼みだからな。断る理由などない」

『伊黒さん…! 本当に優しいわ!! 』
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