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恋はどこからやって来る?/ 鬼滅の刃(短編・中編)

第65章 恋の継子、二つの蛇に睨まれる / 🐍



二人の間に一瞬だけ訪れる間(ま)。次の瞬間、ほぼ同時に地を蹴った七瀬と実弥は ——

「水の呼吸・拾ノ型」
「風の呼吸・壱ノ型」

それぞれが選択したのは —— “生生流転” と “塵旋風・削ぎ”

「わあ……! 凄いわ」
「面白いな!」

『ほう、基本 対 最大か。最大を残すとはな…』

縁側で大きく両目を見開く蜜璃と杏寿郎とは反対に、表情を変化させない小芭内だが、口元に巻いた包帯の下では僅かに口元に小さな笑みを浮かべていた。

『いけ…いけ…いけっ!!!』
『水龍かァ!』

木刀を回転させる度にうねりながら実弥に向かう水の龍は、三匹だ。水の呼吸で最大の型とは言え、七瀬の力では一度に三匹の龍を出すので精一杯のようだ。

実弥が放った壱ノ型は基本の型だが、柱の称号を持つ彼の攻撃は一番最初の型とは言え、一般隊士の七瀬には驚異である。


「伍ノ型 —— 木枯らし颪(こがらしおろし)」

『嘘……! 連撃??』


空中から吹き抜ける風の様に。実弥は体を回転させ、広範囲に広がる風で、水龍を斬りつけていった。

三匹目の龍を完全に仕留めた後、上段から振り下ろした木刀は七瀬の得物を叩きつけ、更に返す刀で彼女の木刀を弾き飛ばしてしまう。

「不死川、一本! それまでだ!!」

小芭内の冷静だが、力強い声が風柱邸の庭に厳かに響いた。








「七瀬ちゃん! 大丈夫…?」

ぺたんと臀部を地面に落としている継子に、師範は心配の色を双眸に浮かべながら早足で駆け寄った。

二人がいる場所のすぐ近くに、一本の木刀が転がっている。
先程実弥の攻撃を受けた際、ヒビが入り、彼に弾かれた事で半分から先が折れ曲がってしまった物だ。

さすがは柱。
七瀬は使用不可能になった木刀に視線をやると、ふうと一つ深い息をつく。

「師範…すみま、せん。負けちゃいました」



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