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恋はどこからやって来る?/ 鬼滅の刃(短編・中編)

第65章 恋の継子、二つの蛇に睨まれる / 🐍



「初恋のわななき」


蜜璃が重心を低く、大きな踏み込む体勢を取って放つこの型は、しなる刃の一太刀ですれ違う相手を翻弄する物である。

今までの七瀬であれば、翻して終わりとなっていたが、この日の鍛錬は勝手が違った。
参ノ型で攻撃を回避するまでは同じだったが、この後に肆ノ型を蜜璃に向かって放つ。

『七瀬ちゃんが連撃!? 珍しいわ!! 感心してる場合じゃないわね。対応しないと』

蜜璃は普段と違う様子の継子に驚きつつも、放たれた滝壺に対しての技を放った。

「陸ノ型・猫足恋風!!」


ぶわりと蜜璃の周囲に螺旋状になった風が発生し、七瀬が放った二つの波を絡め取っていく。

二人の放った技同士がふっと消えると、蜜璃は七瀬にかけ寄り、彼女をぎゅうと抱きしめた。

「七瀬ちゃん! とっても動きが良くなったわね。私、今日はいつも以上にあなたの技にキュンとしたわ!!」

「ふふ。嬉しいです〜! 師範は嫌なやつにはキュンってしないって言ってましたもんね」

「そうよ〜!」の言葉と共に、蜜璃は更に七瀬を抱きしめる腕を強めたが、彼女より「苦しい」と訴えがあった為にパッと両手を離す。

互いに笑い合う二人の間には、しっかりとした強い絆が育っていた。




これより一週間経ち、風柱と七瀬の対戦の日がやって来た。場所は風柱邸である。

「良かったわ、遠方任務が入らなくて……」
「甘露寺、俺は昨日東北から帰宅したぞ!」
「俺はつい先程まで見回りをしていた」

恋柱、炎柱。そして蛇柱の面々は縁側に横並びに座って談笑していた。それぞれが柱ゆえに多忙だが、今日の日を皆(みな)はどうやら楽しみにしていたらしい。


師範の蜜璃と杏寿郎はもちろん、小芭内までもが穏やかな雰囲気である。

七瀬は緊張しっ放しで、先程から厠(かわや)に幾度も行き来を繰り返しているが、そんな三人を見ていると不思議と気持ちは落ち着きを取り戻す。




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