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恋はどこからやって来る?/ 鬼滅の刃(短編・中編)

第65章 恋の継子、二つの蛇に睨まれる / 🐍



「七瀬ちゃん、顔を上げて」
「んっ…ぐすっ、はい」

ひとしきり泣いた七瀬の頭をポンポンと撫でた蜜璃は、継子の肩に両手を乗せ、自分の考えをゆっくりと伝えていく。

「不死川さんを庇うわけではないのだけど、七瀬ちゃんにそんな風に言った気持ちが少しわかるの」

「えっ、そうなん、ですか?」
「うん」

蜜璃の口から実弥の気持ちがわかる —— 予想外の発言に七瀬は心底驚いたが、師範が話す言葉へ耳を傾けていく。

「犠牲を最小限にですか…」
「そう、七瀬ちゃんの階級は戊(つちのえ)よね。一緒に行った二人の隊士の階級はわかる?」

「確か庚(かのえ)でした。二人とも」

戊は丁度真ん中、庚は下から三番目の階級である。柱の実弥は甲(きのえ)で、これは一番上を指す位置付けだ。

柱と共に任務に赴く。
これは一般隊士同士で討伐するよりも、危険度がグンと上がる。

よってそれなりの力を持っていなければ、柱と共同任務の要請は基本的にはない。

「柱って一番上の階級でしょう? だから己を導いてくれる人はいないの。全て自分一人の判断で隊士に指示を出していかないといけなくてね。 煉獄さんは凄く的確なんだけど、私これもあまり得意じゃなくて…」

「……そうなのですか?」

「うん。戦っていると気が高まりすぎて、気持ちが前のめりになる時があるもの」

ここで七瀬は「あっ」と小さな声を発しながら、思い出す。

自分達に帰宅するよう言って来た実弥は、襲って来た三体の鬼をめったぎりにし、随分と気が高まっている様子が身体中から滲み出ていたからだ。

『風柱はたった一人で討伐したけど、その分傷がまた増えてたって隠の人が言ってたっけ…。でも私達があのままいても思い切り戦えなかったかもしれないなあ』

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