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恋はどこからやって来る?/ 鬼滅の刃(短編・中編)

第65章 恋の継子、二つの蛇に睨まれる / 🐍



数日後、七瀬の元へ相棒の鎹鴉が運ぶのに疲労してしまう程の文が届いた。

差出人はもちろん蛇柱からである。

「カァー…七瀬、テガ、ミ、ダヨ……」
「あ、ありがとう!! お疲れさま!」

ふらふらと安定しない軌道を描きながらも、鴉は七瀬に文を届けるべく、体力を振り絞って彼女の肩に降り立った。

普段ならば脚にくくりつけてある文。
だが、今回は鴉の背中部分に束となっている紙が落下しないように手拭いと共に巻かれていた。

ぜいぜいと息を切らしている相棒をまず労った七瀬は、手拭いを解いて、文を一枚一枚確認していく。

『えっ…これ全部手紙なの?? わあ〜どれもびっしり書き込んであるし、やっぱり字が綺麗』

全部で十枚。人間が持つには特に問題ないが、鴉が持ち運びするには難儀な量である。

『凄い…蛇柱、水の呼吸の型を全部分析してる。多忙だって言ってたのに、改善方法も細かく記してある…そっか、私の呼吸って人からこんな風に見えているんだ』

改善点ばかり目に付くが、記載内容はわかりやすい。

目を通せば通す程それは日頃から思い当たる事ばかりで、小芭内からの文を食い入るように読んでいる七瀬に、声がかかった。

「七瀬ちゃん、ただいまー!」
「……」

「あら? 立ち止まったままどうしたの? それは手紙かしら。随分枚数が多いのね…」
「あ! 師範、申し訳ありません……お帰りなさい。蛇柱からの文を読んでたんです」

「えっ! それ全部伊黒さんからの文なの?? 私、一度にそんなたくさん貰った事ないわ…」

自分の帰宅時に任務や所用で外出している以外、七瀬はほぼ毎回蜜璃を玄関先で迎える事が通例だ。

そんな律儀な継子が珍しく姿を見せない事を不思議に思った蜜璃は、分厚い手紙を手に持っている七瀬を見て驚愕してしまった。

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