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恋はどこからやって来る?/ 鬼滅の刃(短編・中編)

第65章 恋の継子、二つの蛇に睨まれる / 🐍




そして、小芭内との稽古の日がやって来た。

「おい、さっさと立て。太刀も乱れているし、体幹も安定していないぞ。貴様それでも甘露寺の継子か。本気を出せ」
「シャー!!」

「わっ……は、はい……!!」
「伊黒さーん、七瀬ちゃーん、頑張って〜!」

小芭内が恋柱邸に来訪する直前まで、雲一つない晴天だったと言うのに空模様は曇天(どんてん)に変化した。

とは言え、これから雨か降りそうと言うよりはただ太陽を雲が覆っているだけの状態だ。

蛇柱は七瀬と挨拶を手短に済ますと、蜜璃に庭を借りるぞと伝え、時間がないと言わんばかりに足早に移動し、今に至る。


『伊黒さん……今日は何だかいつもと表情や雰囲気が違ってとてもカッコ良いわ!!』

小芭内と七瀬を纏う空気はなかなか殺伐とした物になっているが、蜜璃の周りだけは普段の彼女と同様にキラキラと眩い空気で覆われていた。

蜜璃は小芭内の事を随分前から【異性】として見ている。
共に同じ柱であり、一般隊士を率いる立場だが、恋柱の名の通り彼の事が好きなのだ。


『水の呼吸は全ての型が満遍なく使えると言う事だったな。しかし、あくまでも及第点を超えているだけ……”これ”と言う物は確かになさそうだ』

蛇柱は全く呼吸を使用せず、七瀬の太刀を躱している。

『太刀筋も悪くはない。やはり自ら仕掛ける積極性か』

スウと小芭内は呼吸を変化させ、木刀を握る両腕にグッと力を込めた。

「蛇の呼吸・壱ノ型」

『ようやく呼吸……!!』

七瀬はここまで呼吸を使用せず、自分の技を躱す彼に驚愕をしていた。蜜璃と稽古をする時は互いに呼吸を出し合っている。
それ故、小芭内の立ち回りは随分と衝撃的だったのだ。

壱ノ型と言うからには基本の技だろう。しかし、蛇の呼吸は今この頃合いが初見の七瀬である。



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