• テキストサイズ

恋はどこからやって来る?/ 鬼滅の刃(短編・中編)

第65章 恋の継子、二つの蛇に睨まれる / 🐍



「はい!」

「はい、私達も基本は大事だと思いまして、壱ノ型の動きは毎回必ず稽古に取り入れています」

「うむ! 感心、感心! 良い心がけだ! して甘露寺、君は沢渡少女にどのように呼吸の仔細を伝えていたんだ?」


炎柱に褒められ、気分が一気に高揚した蜜璃だったが、この発言を聞いた途端体がピシッと固まってしまう。

彼女は杏寿郎に相談した際【自分が使用する呼吸を理解したいと言う継子に、うまく説明が出来ない】としか言っていない為だ。

『どうしよう……あの説明を煉獄さんにもしないといけないの??』

杏寿郎は察しも良いし、頭の回転も速い。

しかし、未知の語彙を自分なりに噛み砕いて心に落とし込む…と言う作業はあまり得意ではない。

『でも言わないとわかってもらえないし……! ああ、もう! 当たってみるしかないわ!』

覚悟を決めた恋柱は、普段七瀬に伝えているのと同様の説明を「ん?」と身を乗り出して待っている炎柱にぽつり、ぽつりと話していった。






「甘露寺、すまん!! そんな要領を得ない説明では沢渡少女でなくとも理解はとうてい出来んぞ!! 心臓が”ぎゅーん”とは一体どんな感覚なのだ?! 」

「す、すみませ〜〜〜ん!! それが上手く説明出来なくて……」

はははと笑いとばした杏寿郎は、腕組みをしながらあさっての方向を見つめている。

蜜璃は畳に額を深くこすりつけ、恥ずかしさでなかなか顔を上げる事が難しくなってしまった。


「私も師範がいつも身振り手振りで一生懸命伝えてくれるから、理解したいんですけど……力不足で……汲み取れなくて…」

助け舟のつもりで発した七瀬のこの発言で、蜜璃は「ごめんなさあいぃぃ!」と大量の涙を両目から溢れさせたのである。


/ 938ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp