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恋はどこからやって来る?/ 鬼滅の刃(短編・中編)

第64章 霞屋敷のふろふき大根には柚子の皮が乗っている / 🌫️


🐿️

「何だかこれじゃあ話が終わらなそうな気がしますよ」
「? そうかな」
「はい」

苦笑しながら包帯を巻き終えたゆずは。
彼女は道具一式を治療箱にしまうと、改めて無一郎に向き合った。


「決めました。無一郎様がこれから木刀を折る度に、食事で出すふろふき大根の数を一つ減らす事にします」

「え? どうして? 意味がわからないんだけど」


霞柱は先程ゆずはが、無一郎の事が心配だと告げられた時以上に困惑した。

木刀の調達は隠の業務だ。

手合わせで割れたりと言った事は仕方ないが、本来割れなくても良い時に壊れると言うのは、何だか割に合わない。
そんな事をゆずはが訴えると ——


「自主稽古で怪我するなんて本末転倒ですしね。私、今日まで沢山木刀を調達しましたが、結構大変なんですよ。何本も持つと流石に重くて…」

「もういい、わかったから」

ゆずはが引き続き意見を述べると、掌を向けて静止する無一郎。
ふう、とため息をついた後は ——

「ゆずはってもっと大人しい子なのかと思ってた」

「本来はそうですよ。でもそれだとここでは駄目だなとよくわかりました。なので今後は思った事は口に出していきます」


完全に納得しかねる部分もあったが、ふろふき大根には変えられない。何せ無一郎の大好物なのだ。

「所で君っていくつなの? 見た所僕とあまり変わらないように見えるけど」

「十五です」
「そうなんだ。じゃあ…」

次の瞬間、ゆずはは無一郎の発言に目を見開いてしまう。

「無一郎様、それは無理です。私には出過ぎた事です」
「どうしても?」

はい、と強く頷いた彼女に霞柱は奥の手を放った。

「じゃあ上官命令。無一郎様呼びと、敬語はやめて」
「うっ…」

命令、と言われると隠の立場では逆らえない。

「外では今まで通りで構わない。でも家では普通にして。君もその方が良いんじゃない。ごはんだって一緒に食べてるし」

「……わかりまし…うん。わかった」



—— また二人を包む空気が、ふわりと柔らかくなる。


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