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恋はどこからやって来る?/ 鬼滅の刃(短編・中編)

第64章 霞屋敷のふろふき大根には柚子の皮が乗っている / 🌫️


🐿️

「霞さんは俺もわからん。無表情で口数も少ないし。水さんも似たような性質だけど、挨拶と礼はしてくれるからさあ……反応は遅いけど」


「ダメ、苦手。俺は隊士になれなかったから物凄く劣等感を刺激される。天才型だから、挫折した人間の気持ちとか全然想像出来ないんじゃねぇ?」


「凄く好き!! だって顔が良いもん〜。あの無表情と毒舌も歳下だから可愛いって思っちゃう」



時透無一郎は一体どんな人なのか。


これはゆずはが、霞屋敷専属隠に任命された直後、先輩隠へと問いかけた質問だ。

答えてくれた者の名は後藤・綾瀬・幾田の三人。

その返答は三者三様であり、それ故彼女の脳内は大いに混乱した。
そしてゆずはを更に憂鬱にさせるのが…。


「マタ無一郎ニ相手ニサレナカッタワネェ」
「……」


食器の洗い物を済ませた彼女は、縁側の硝子窓を閉めようとした所で、一羽の鳥に声をかけられた。庭の物干し竿に止まっている鴉は、随分と偉そうである。


霞柱の鎹鴉・銀子。
主の事を溺愛している為、同性(?)であるゆずはが目障りで堪らないのだ。

『ドウシテ女ノ隠ガ配属ニナルワケ?? 無一郎ガ一人占メ出来ナイジャナイ…!!』


因みに無一郎は人間同様、鴉にもほとんど関心はない。よって今の独白は、銀子の自分勝手な感情である。


「アンタニ構ッテル場合ジャナカッタ!! 無一郎ヲ追イカケナキャ……!!」

鎹鴉は基本的に隊士と共に行動をする。
銀子は慌ただしく漆黒の翼をバササ…と上下に動かし、主の後を追いかけたのだった。

『私……銀子さんに何かしたっけ?』

—— ゆずはの深い深い溜め息は、宵闇に吸い込まれるように消えた。



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