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恋はどこからやって来る?/ 鬼滅の刃(短編・中編)

第63章 Valentine masquerade / 🎴・🌫️



「言えない……恥ずかしくて」
「つまんないなあ」

つまらないと言われても、言えない物は言えない。無一郎くんから顔を逸らし、体もうつ伏せの体勢になると ———

「照れ屋の七瀬も大好きだよ」
「………あり、がと……」
「待ってて、すぐ用意するから」

ちう、とうなじに彼の唇が一度落ちると背中が急に寒くなり、背後からピリッと小袋を開けるような音が聞こえた。
……え? こうなる事を見越して二個以上用意していたわけ??

「お待たせ、こっち向いてよ……あ、いいや。そのままで大丈夫」

そのままで大丈夫……?
脳内が疑問符で埋め尽くされ始めた瞬間、腰をグッと引き寄せられ ——


「今度は後ろからはいるね」
「えっ、お尻はやだ……」

「何言ってんの、違うよ」

こう言う事だよ。
無一郎くんの声と吐息が左耳のすぐ近くで聞こえた後、蜜壺に彼の男根が触れた。

「えっと……あの……」
「はいるね」

ズ、ズ、と質量を増した彼の昂りがいつもと反対の方角から入る感覚がする。この後、さっきより時間をかけて律動を繰り返した無一郎くんは、凄く満足した様子で高みに達していた。


「……凄く良かった。またやろうね」
「……う、ん」

「ふわあ、眠いや……おやすみ」
「おや、す…」

【み】と最後の言葉を伝える前に、すうすうと穏やかな寝息が頭上から聞こえた。

『今日の二回は私も凄く良かったし、気持ち良かったよ』

ごめんね。
私は言葉に出すのが恥ずかしいから、心の中でしか言えなくて。

穏やかな寝息と同様、年より幼さを感じさせる寝顔の唇にそうっと口付けを届ける。
唇を離しても彼が身動きする様子は全く感じられない。

ふわあと小さなあくびを一つすると、セットのように瞼が重くなって来た。

良いバレンタインだったな。
心も体も満たされた私は、無一郎くんの体に更に密着して眠りについた。







ドレスハウスで濃密な時間を過ごした一週間後、私は再び彼と自宅でくつろいでいた。

「観たい映画? 良いんじゃない。一緒に行こうよ」
「ありがとう! 来月から公開されるんだけど、なかなか面白そうでね」

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