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恋はどこからやって来る?/ 鬼滅の刃(短編・中編)

第63章 Valentine masquerade / 🎴・🌫️



「ふうん、そうなの」
「うん、そうなの」

ズズズッとブラックコーヒーをすする無一郎くんに、映画名を伝えると、えっと珍しく動揺した様子を見せた。

「ふろふき大根?」
「うん、作品タイトルに入ってるの。気にならない?」
「そう、だね」

それからスマホを手にした彼は、これ?と言いながら私に画面を向ける。映画の公式サイトを検索したようだ。

中央には【霞屋敷のふろふき大根には柚子の皮が乗っている】と記されている。

「ヒロインの相手がすっごく無一郎くんに似てるって、周りの友達が騒いでた。私もそう感じたかな」
「まあ……髪が長い所は、確かに似てるね」

人物相関図をまじまじと見つめる彼は、ふうんと呟くそっけなさとは裏腹の態度だ。

『この役者さん。ホント無一郎くんに似ているなあ』

因みにヒロインの役名は、立川ゆずは。
時代設定は大正。天才型の剣士と彼のお世話係に任命された二人のラブストーリーだ。

『原作者三人のインタビュー記事が載ってる。読んでみよう』

私はスタッフのページをタップし、一人一人の記事に目を通していく。

「へえ、この話ってリレー形式で当時連載されてたんだって。面白いね」

「あ、そうみたいだね。私も同じ場所を閲覧してたとこ」

原作まず読んでから映画行こうかな。
映画サイトから小説の販売サイトへとジャンプした私は、ある情報を見てため息をついた。


「原作、入荷時期未定だって。映画先に見なさいって事かな?」
「公開直前なんだから、当たり前じゃない?」

そうだね、と苦笑いしながら返答した私は、原作小説の購入ボタンをゆっくりと押したのだった。






〜無一郎と過ごすバレンタイン〜
終わり










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