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恋はどこからやって来る?/ 鬼滅の刃(短編・中編)

第63章 Valentine masquerade / 🎴・🌫️



ふう、と一つちいさなため息をついた無一郎くんは「仕方ないなあ」と言う表情をしている。
これは私にとって都合の良い事を言う前触れだ。


「ドレスハウスのような人がたくさん集まる場所で、君に露出が高い服装なんてして欲しくない。僕が独占欲強いの、もうわかりきってる事でしょ」

「うん、そう、だね」

きっぱりと言い切った無一郎くん。
私は予想通りの反応が自分に返って来たので、口元が緩みそうになり、慌てて手のひらで隠す。


「七瀬、隠さなくても別にいいよ」
「うん、すぐおさまるからちょっと待って」

一分後、宣言通り口元の緩みが落ち着いた私は、マグカップに残っていたミルクティーを全部飲み干した。

顔を上げると、同じようにコーヒーを全部飲んだ彼が私をじっと見ている。

水色のビー玉を思わせる無一郎くんの双眸は大げさではなく、本当に吸い込まれてしまいそうな吸引力があるなあと思う。

「嬉しい、ありがとう」
「別に……本当の事言っただけだし」

表情を特に変える事なく、ズボンのポケットに入れていたスマホを取り出した彼は「応募するよ、君もスマホ出して」と唐突に言い出す。

ん? 応募って何の事なんだろう。
発言が腑に落ちないまま、彼の言う通りにスマホを取り出した。

応募と言うぐらいだ。
きっとドレスハウスのサイトにヒントがあるのだろう。

「東北 ドレスハウス」と検索欄に打ち込み、サーチをかけるとあっという間に施設の情報が記された画面が表示された。

「応募って……え? 一日二組限定で宿泊出来るプラン? 抽選エントリー制なんだ」


ライブチケットの申し込みと同じだなあと、思い浮かんだ私はふふっと口元に笑みが浮かんでしまう。

「せっかく東北まで行くなら、オプションを楽しむのも良いかなって。バレンタインも来月あるし」

『あ、そうだ、バレンタインかあ』



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