恋はどこからやって来る?/ 鬼滅の刃(短編・中編)
第63章 Valentine masquerade / 🎴・🌫️
〜無一郎と過ごすバレンタイン〜
「ドレスハウス? って言うの? 面白そう!!」
「……君、そんなに行きたいの?」
「うん、無一郎くんの仮装も見たいし」
「そう」
新しい年が明けた一月上旬の週末、自宅には恋人が来ている。
同級生であり、高校時代から付き合いがある共通の友人の善逸。
彼からとある施設の事を教えてもらった無一郎くん。
その話題に私が快く反応すると、彼はあんまり興味がなさそうに呟いた。まあこれはいつもの風景だ。
私の彼氏は一つ年下。凄く落ち着いている人で、思考も色々と達観している —— でも……
「無一郎くんは? 私の仮装見たくない?」
「見たいよ」
ズズッとホットコーヒーを啜る彼は、低めのテンションで肯定的な返事を返す。
興味ない時は興味ないってバッサリ切るから、これは凄く乗り気って事。【彼女】の私には自分の思いを言ってくれるのだ。
よし、もう少し突っ込んで聞いてみよう。
どんな仮装が見たいのか、どんなメイクが良いのか、それから……
「何にせよ、似合っていれば良いんじゃない? 普段着以外の七瀬が見れれば、僕は満足だし」
「そう言ってくれるのは嬉しいけど、もう少し具体的に聞かせて欲しいな」
対面側から身を乗り出すように迫る私に、少しだけ呆れ気味の彼。どうせ仮装するなら、無一郎くんの好みの衣装にしたいもの。
「あまり露出しないデザイン、でも程よく華やか。色は…普段暖色系の服着てるから、寒色系が希望。 これで良い?」
「うん、すごくよくわかった! ありがとう」
複数回頷きながら、ミルクティーをズズッと飲む私。だけど、ふとした疑問が湧いた為にもう一度身を乗り出した。
「何? どうしたの」
「うん、あまり露出しないデザインって言うのが気になって…」
「え、本当に? 本気で言ってる?」
「ほんと、ほんと」