恋はどこからやって来る?/ 鬼滅の刃(短編・中編)
第63章 Valentine masquerade / 🎴・🌫️
「もう……やめてよ。そんな所」
「普段はしないだろ? 今回は色々特別なパターンが多いし、今日だけはって事で」
ちうちうと臀部が吸い上げられた後、するっと撫でた炭治郎は自分もズボンを脱いでベッドの下に落とす。
「俺もここにしるしつけて欲しいんだけど…」
「ダメ! 恥ずかしい」
「はは、わかった」
右人差し指で自分の臀部をちょんちょんと指す彼に、速攻突っ込みを入れた私は布団の中に潜り込んだ。
頭からシーツを被ってほてった気持ちをクールダウンしたい為だ。
「七瀬ー」
「……」
ゆさゆさとシーツ越しに私を揺する炭治郎に対し、ダンマリを貫く事五分。
ちらっとシーツをめくってみると、目の前にはにっこりと微笑んでいる恋人がいた。
「機嫌直ったか? 俺、早く七瀬と気持ちよくなりたいなあ」
「……」
ぎゅっと私を抱きしめた炭治郎は、頭頂部にキスを落とすと頬をすりつけて来た。普段は色々リードしてくれる彼が甘えたい時にする仕草だ。
私がこれに凄く弱い事を熟知している炭治郎は、数回繰り返して来る。観念した私はハア、と短い息をつき、顔を上げた。
すると「待ってた」と目尻を下げてキスをくれる彼だ。
「七瀬、好きだ」
「私も大好きだよ」
衣服を全て取り去った私と彼の肌が、ぴったりとくっついた。
お腹にピンと固い昂りが当たり、じわっと下の入り口から炭治郎を求める欲とあたたかな液が垂れていく。
膝を擦り合わせていると、背中をシーツに優しく押し付けられ、炭治郎が馬乗りになった。
さっきまでキスをしていた名残り —— 切れた透明な糸を手の甲で拭うと、両手で私の頬をそっと包む。
「今気づいたんだけど、今日のメイクって少し違うのか?」
ワインレッドの双眸が、じいっと私のまぶたやまつ毛を珍しそうに見つめ始めた。