• テキストサイズ

恋はどこからやって来る?/ 鬼滅の刃(短編・中編)

第18章 忘却の夢炎(むえん) / 🔥



〜杏寿郎から見た景色〜

「…すまんな」
七瀬が眠ってしまったことを確認した俺は擬態を解いて、恋人を横抱きにする。そうして、森の中のある場所へと向かった。

確か…この辺りだったはずだが。見覚えがある木を見つけた俺は、その木の前に彼女を座らせて柔らかな左頬を包む。

とても穏やかで幸せそうな寝顔だ。
ここは七瀬と出会い、彼女との付き合いが始まったとても大切な場所。


“君はこれ以上、俺といたらダメだ”


それが今日痛い程、身に沁みてしまった。人間の姿をした自分とこれ以上ないぐらいの笑顔でいる七瀬。そういう顔をさせているのはもちろん自分だった。


しかし……それは鬼である本来の自分の姿では絶対に出来ない事。

最初からわかっていたはずだろう、俺は鬼。彼女は鬼殺隊の剣士。
本当なら絶対に恋人としてなど、交わってはいけない者同士だ。

お互いがあるべき場所に戻るだけ。そう………それだけなのに。

自分の心は彼女の笑顔でいっぱいに埋め尽くされてしまっている。
彼女がくれたたくさんの「好き」で満たされている。

七瀬と心と体が何度も繋がった事で……
次に出会う時までの待ち遠しさ、そして寂しさを感じる事が出来るようになった。

それでも……離れなければいけない。
離さなければいけない。

本当は君とずっと一緒にいたかったがな。

俺はふう、と一つ深呼吸をする。
全てが始まったこの場所で、全てを終わりにしよう。

七瀬の口元に自分の唇を近づけた。

「血鬼術———」
「忘却の夢炎(むえん)」

/ 938ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp