恋はどこからやって来る?/ 鬼滅の刃(短編・中編)
第18章 忘却の夢炎(むえん) / 🔥
「あ、ねえ。ちょっとお店に寄って良い?」
「もちろん」
私はたくさんある屋台の中から、ヨーヨー釣りが出来るお店に行った。お店の人にお金を払って、こよりを2人分もらう。
「はい、これ。杏寿郎の分」
「む……これであれを釣るのか?」
「そう。私ね、結構得意なんだよ」
「ほう…」
それから10分後、私も彼も縁日水槽に入っていたヨーヨーをほぼ釣ってしまい、お店の人に苦笑いされてしまった。
全部を持っていくわけには流石にいかなかったので、私と杏寿郎の分だけを受け取り、お店を後にした。
「あー!楽しかったあ!」
町から大分離れて、杏寿郎と落ち合う森の入り口までやって来た。
もう帰る時間か……。いつもながら寂しいな。
「七瀬…」
「ん………」
別れる前の口付け。そして「また会おうね」の意味でもある挨拶。
私は彼の首に手を回して、それに応える。最後にちゅっ……と吸い上げられれば、彼の顔がゆっくりと離れていく。
「今日も凄く楽しかった。ありがとね!」
「………………ああ。またな」
あれ…何だか…杏寿郎の顔がぼやけていく……。
「杏…寿…ろう…また会おう………よ?」
段々と瞼が重くなっていき、私はブツ…と意識を無くした。