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恋はどこからやって来る?/ 鬼滅の刃(短編・中編)

第63章 Valentine masquerade / 🎴・🌫️



「日照時間の違いか……。確かに日本って南北に長いもんな」

「そうなの。向こうに行った時、日没が関東より一時間遅いんじゃなかったかなあ。暗くなると気持ちが少し寂しくなるじゃない?」

私だけかな?
そんな問いかけを炭治郎にしてみると、俺もそう思う!とにっこり笑って応えてくれた。

「でも今日は炭治郎がいるから、寂しくないよ」
「えっ、あっ……うん。ありがとう」

ポーッと再び顔を赤くする彼が愛おしい。
それからティーセットを二人で片付けて衣装が選べる部屋へと向かった。


「これなんかどう?」
「うーん、派手じゃないか?」

「そんな事ないよ。ジャケットにくっついているスカーフ?かな。この赤が差し色になってて、紫とのバランスも良いし」

私がたくさんの衣装の中からチョイスしたのは、紫の生地に首元が大きめの黒リボンで止めれるジャケット。

下は黒地に紫のストライプデザインのパンツ、それから黒いブーツだ。

「それに私が着るドレスとも合いそうな気がするよ」
「七瀬が言うなら、これにしようかな」

ありがとうとお礼を伝えた私は、着替えが互いに済み次第施設内の写真スポットで待ち合わせの約束をし、一旦離れた。












三十分後、慣れないドレスに足を取られそうになりながら彼との待ち合わせ場所へと急ぐ。館内は夕方十七時を回った為、一般利用のお客さんはいない。

『今日はもう一組の人達が急遽キャンセルになったってスタッフさんが言ってたっけ』

お正月が明けた一月初めからバレンタインがある二月中旬までのこの時期は、寒いにも関わらずひっきりなしに人が訪れると言う。

炭治郎が恥ずかしいって言うのもわかる気がするぐらい、お客さんが多かった。
昼間の賑わいが嘘のように静まり帰った館内は、自分が履いたヒール靴の音だけが響いている。

『炭治郎いた……!』



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