恋はどこからやって来る?/ 鬼滅の刃(短編・中編)
第63章 Valentine masquerade / 🎴・🌫️
このドレスハウスはラブホテルを改装している建築物だ。
だからか、宿泊プランは十八歳以上じゃないと申し込めないシステムになっている。
「……楽しみだなあ」
「えっ!? な、何がだ??」
ボワンと瞬時に真っ赤な顔になる炭治郎。やばっ、かわいい!
「んー? 仮装だよ、炭治郎の。当たり前じゃん」
「そ、そうだよな…仮装だよな…」
うん、うんとオーバー気味に頷いた彼は、同時にほう……と全身を使って深い呼吸をはいた。
炭治郎は真面目くんだから、少しからかうとこんな反応を見せてくれる。
仮装もだけど、夜も楽しみ!
……なんて恥ずかしくて、流石に本人に言えないけど。
そんな私の欲なんて全く想像していないのだろう。
興奮が冷めない彼と自分自身。互いに少し気持ちをクールダウンした方が良いかなあと思い、テーブルの上に置いてある紅茶やコーヒーのティーバッグを飲もうと提案した。
「んー、美味しいね。流石【Water fall】の紅茶!!」
「うちのパンと凄く合いそうだ! これ、ここでも購入出来るのか? あっ、フロントで販売してるって書いてあるな」
十分後、私達二人は有名ブランドが出している紅茶とコーヒーの味に舌鼓を打っていた。味は勿論の事、香りも良い。
コーヒーは炭治郎いわく、後味がスッキリしていて苦くない。
私が選んだ紅茶はアールグレイ。
柑橘系の香りと後味は炭治郎のコーヒーと逆で、少し苦味がある。
だからミルクを足してみると、バランスが良くなった。
「買って帰る?」
「ああ! 母さんと禰󠄀豆子にも飲んで貰いたい」
★
夕方になった。
窓から差し込む光は茜色と紺色が混ざり合っており、どこかもの寂しい。時間はちょうど十六時半を回った所だ。
「関東と日の長さはそんなに変わらないんだね」
「どういう事だ?」
「うん。前、沖縄に行った時にね……」