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恋はどこからやって来る?/ 鬼滅の刃(短編・中編)

第62章 Halloween masquerade / 🌊・🔥



「杏寿郎さん……いつの間にダンスを?」

十分後、部屋には三拍子のワルツが流れていた。音源は杏寿郎のスマホからである。全くの社交ダンス未経験の七瀬を上手くリードしていた。

「母が三か月前から社交ダンスを習い始めてな。書道の生徒に誘われたんだそうだ」

槇寿郎は恥ずかしがり、練習にも付き合ってくれないと愚痴をこぼされた杏寿郎は、瑠火より七瀬には黙っておいてほしいと口止めされた —— そんな理由を彼女へ説明する。

七瀬が瑠火に嫉妬せぬように……と言う気遣いあっての事だろうが、言ってくれても全く構わなかった。当の本人は笑顔で杏寿郎に応えた。


「ヒールでのステップってなかなか難しいです……でもゆっくり動いているから何だか上手に踊れてる気分になりますよ。これって杏寿郎さんのリードが上手いからですよね」

「そうか? ありがとう、む! 曲が終わってしまったな」

—— もう一回踊るか?
問いかけた杏寿郎に、はいと即答で返答をする七瀬だ。








「お疲れさま、なかなか良いステップだったぞ」

「ありがとうございます……ずっとダンス中考えていました。中世で杏寿郎さんと出会っていたらどうなっていたかなって」

面白そうな話だ。杏寿郎は恋人に先を聞かせてくれるよう促し、ソファーに座っている七瀬に、マグカップを渡した。

湯気と共にコーヒーの香りが部屋に充満する中、彼女は己の考えを杏寿郎にポツポツと語っていく。


「中流家系の庶民の家に生まれた私は、この家の本当の娘ではなく、二人の義姉や義母から不当の扱いを受けています。唯一自分に優しく接してくれた実の父は病死してしまったからです」

そこへ城より王子の花嫁探しが始まったと町中に通達が出る。
七瀬がここまで伝えると、杏寿郎からどこかで聞いた話だなと突っ込みが入る。





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