恋はどこからやって来る?/ 鬼滅の刃(短編・中編)
第62章 Halloween masquerade / 🌊・🔥
「父上と母上もいらしていたとは……」
「ふふ、気軽に応募してみたら、当たってしまいました。ちょうどここが紹介されている番組を観ていた時に、ドレスも着てみたかったと話していたんですよ」
四人が訪れたドレスハウスとはたくさんの華やかな服が保管されており、フォトウエディングや七五三、女子会、コスプレの為に利用…など様々な目的で人が集まる娯楽施設。
槇寿郎と瑠火に用意されたゲストルームに移動して来た七瀬と杏寿郎は、備え付けのテーブルを囲んでコーヒーを飲みながら話している。
因みに千寿郎は丁度修学旅行に出掛けており、不在らしい。
笑顔で話す瑠火とは対照的に、先程から黙ったままの槇寿郎。
彼は息子とその恋人に、妻と共に来た所を見られてしまった事が恥ずかしいようだ。
ずっとコーヒーを飲んでいたので、トイレに行く —— そう三人に告げて一旦部屋から退室してしまった。
「家を出る前からあんな調子で。だからドレスを着てみたいのはもちろん、槇寿郎さんのフォーマルな姿も見たいと説得して連れて来たんです」
「瑠火さんのドレス姿、私も見てみたいです。お着物は以前写真で見せて頂きましたが、綺麗すぎて声出なかったですもん」
「ありがとうございます、七瀬さん。どうです?一緒にドレス選びに行きませんか?」
「いいですね〜! 是非ご一緒させて下さい」
母と恋人の会話を横で見ていた杏寿郎は、どうぞ二人でと提案をした後に父が帰って来るのを待った。
あともう一杯飲もうと椅子から立ち上がったその時、部屋の扉が開き槇寿郎が入って来る。
「今、瑠火さんと七瀬さんに会ったぞ。ドレス選びに行くと言っていた」
「ええ、話が大層盛り上がっていたので俺が一緒に行ってはどうかと提案したのです」
「俺はどうもこう言う華やかな場所は落ち着かん。お前は平気そうだな」