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恋はどこからやって来る?/ 鬼滅の刃(短編・中編)

第62章 Halloween masquerade / 🌊・🔥



五分後、七瀬と杏寿郎はドレスハウスの外観に圧倒されていた。名称 “ breathing(=英語で呼吸の意)”
チェコのプラハ城を参考にしていると言う、ゴシック様式の建物だ。

「あの尖ったアーチとか、凄く雰囲気ありますね。いいなあ、中欧も行ってみたい…。杏寿郎さんは行った事あります?」

「いや、ないな。だが、父と母は俺が生まれる前に行ったと聞いた事がある」

「それは是非今度お話しを聞きたいですね」
「七瀬。荷物もあるし、中に入ろう」


杏寿郎は彼女が持っていたキャリーバッグを左手に持ち、また七瀬と手を繋ぎ直す。こういうさりげない優しさが本当に好きだ —— 彼女は改めて恋人に感心したのだった。






「こんにちは、ご来店ありがとうございます!ようこそ、ドレスハウスbreathingへ。オプションプラン申込みの沢渡様ですね。ではまず本日宿泊されるお部屋にご案内致します。どうぞ、こちらへ」


二人がカウンターで受付を済ますと、施設従業員の女性が声をかけてくれた。胸ポケットのネームプレートに「幾田」と書いてあるが、杏寿郎の顔を確認した途端に彼女が首を傾げた。


「あの……先程ご案内した煉獄様ですよね。もしかして宿泊されるお部屋の場所がわからなくなったとか……?」

「ん? いや、俺はたった今彼女と着いたばかりなんだが…」

「先程って言うのは一体?」


七瀬、杏寿郎、そしてスタッフの幾田。
三人の脳内にはふわふわと同じ思いが浮かんでいる。うーむと杏寿郎が顎に手をやった瞬間、三人の後ろから彼と七瀬を呼ぶ声が聞こえた。


「聞いた事がある声がすると思えばやっぱり。槇寿郎さん、どうです? 私の言った通りでしょう?」


——— その声の主は杏寿郎の母、煉獄瑠火であった。


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