恋はどこからやって来る?/ 鬼滅の刃(短編・中編)
第62章 Halloween masquerade / 🌊・🔥
〜杏寿郎と過ごすハロウィン〜
「ドレスハウス……そこ私も知ってます。実は今年一緒に行けたら良いなあって思っていました」
「そうか! じゃあ現地集合で良いか?」
杏寿郎のスマホ画面に映っている七瀬は、眉を八の字にした後「えー」と不満気に声を発した。
「せめて駅で待ち合わせしましょうよ〜杏寿郎さん不足だから、少しでも早く会いたいんです」
「嬉しい事を言ってくれる物だ…七瀬、俺も君不足だからそれには賛成する!」
二人は恋仲になって三年、元々は教員と生徒の関係だった。
七瀬の在学中に前世からの縁で付き合う事になり、昨年の春に彼女が高校を卒業した。その為、外でも隠す事なく共に外出が可能になったのだ。
卒業後は七瀬が北海道の大学に進学。
長期の休みになると杏寿郎のいる東京に帰省するのが通常パターンだが、今回はハロウィンを二人で楽しみたい。
そんな願いから会う事にしたのだ。
「渋谷を杏寿郎さんと仮装して歩くのも楽しそうだなあって思ったんですけどね」
「確かにそれも面白そうだ! しかし、今年はドレスハウスに行ってみよう」
もちろんです —— 続けて七瀬から告げられた言葉に、杏寿郎は大きな瞳を更に見開いた。
「よもや、宿泊プランに当たったとは……」
「ねー、私もびっくりです。外観もですけど、お部屋も中世の雰囲気が感じられそうだし、一味違うハロウィンが経験出来るんじゃないですか?」
「そうだな、楽しみだ」
笑顔の二人の間に、あたたかく幸せな気持ちが流れていた。