恋はどこからやって来る?/ 鬼滅の刃(短編・中編)
第62章 Halloween masquerade / 🌊・🔥
「treat はごほうび、と言う意味合いだったな。俺は菓子よりも七瀬が欲しい」
「本当はイタズラか、ごほうびかって問いかけだよね? さっきの問いかけだと……どっちにしろご褒美をちょうだいって事?」
「ああ、だから七瀬しか欲しくないと言う意味だ」
「んっ」
七瀬の唇に真上からあたたかな温もりが降って来た。
目をゆっくりと閉じると、どちらの手も義勇の両手が絡められる。
啄むキスが複数回続くと、絡めていた両手が自由になる。隠れていない肩とデコルテがそっと撫でられると、七瀬の口からはあ…と蕩けた声が発せられた。
「今日お前の姿を横で見ていて、ずっと気になっていた事があるんだ」
「えっ……何?それ」
キスの雨がふっと止んだ —— かと思えば、最後のひと雫と言わんばかりにちうと七瀬の唇がしっとりと、柔く吸い上がる。
ほう……と甘い息がこぼれた所へ義勇の唇がそれを掠め取った。
「ドレスの中はどうなっている?」
「どうって……パニエって言うスカートを膨らませるインナーをはいてて……それから……」
七瀬の口から発せられる事はなく、義勇が言葉ごと奪い取る口付けを贈る。
「確かめても……良いだろうか」
キスが鼻と両の瞼にも落とされると、両の頬がそっと包まれ、七瀬の着用しているドレスと同じ色の双眸が、彼女をじいっと見つめた。
『やばい、義勇さんの目線……』
ドクンと胸の鼓動が強くなったとほぼ同時に、七瀬の下着がじわりと湿る。
彼女が何も言えずに黙っていると、義勇はそれを「了承」と受け取ったようでドレスの裾をゆっくりと捲っていった。