恋はどこからやって来る?/ 鬼滅の刃(短編・中編)
第62章 Halloween masquerade / 🌊・🔥
「凄く楽しい。義勇さんは?」
「俺もだ。やはり何でも出来るようになるまでが一苦労だな」
ワンツースリー、ワンツースリーとカウントを互いに体で感じながら踊っている七瀬と義勇は、充実した気持ちになっていた。
そのまま続けていると、ふっとワルツが鳴りやんだ。
ふう……と小さな深呼吸をした七瀬の表情は晴れやかだった。義勇も表情はわかりにくいが、非常に充実した気持ちを味わっている。
「ありがとう、お前のお陰で何とか形になった」
「いえいえ、私は何もしてないよ。義勇さんが諦めなかったからだよ」
「あの時も今回も七瀬が練習を共にしてくれた。だから何としても出来るようになりたいと強く思えた」
「社交ダンスが少しでも踊れるようになったら、もっと楽しい日々が送れると思ったの。そしたら義勇さんと一緒に出来る事も一つ増えるでしょ? 私も頑張って良かった」
「そうか」
義勇は一度恋人の左頬をさらっと撫でた後、ちうと桃色に色づいた唇に一粒のキスを落とした。
「楽しい事……もっと作るか」
「えっ? 義勇さん、それどう言う意味……」
軽々と七瀬を横抱きにした彼は、天蓋付きのベッドへと足を進めた。気持ちが急上昇した彼女は特に大きな声を出す事もなく、義勇の腕の中で大人しくおさまっている。
ゆっくりと七瀬の下半身がベッドに沈んでいく。
するとドレスの裾が白い生地に触れ、ふわっと放射状に散らばった。
「ドレス姿はよく似合っているが、脱がせてみたくなった」
「えっ?? いや、それは恥ずかしいな……」
咄嗟に右手でスカート部分の生地に触れた七瀬は、やや後ろ向きに体をひく。
「Treat or treat?」
「!! 義勇さん……それって」