恋はどこからやって来る?/ 鬼滅の刃(短編・中編)
第62章 Halloween masquerade / 🌊・🔥
「お部屋も素敵だね。義勇さん、ドリップコーヒーがあるよ。電子ケトルと一緒に目立たないように上からクロスがかかってる。せっかくだから頂かない? 私も飲みたい」
「そうだな……」
クラシックな雰囲気の十五畳のゲストルーム。二人で過ごすには十分な広さで、水色の天蓋付きベッドも鎮座している。
義勇はスーツケースをベッド近くに置き、七瀬がコーヒーの準備をしている傍らで物珍しそうに視線と体を動かし、観察した。
『ウォーターベッドか……家と同じ物があるのはありがたい。しかし、大きいな。これはキングサイズか?』
「義勇さん、コーヒー入ったよ」
「ありがとう、今そちらに行く」
★
十五分後。コーヒーを飲み終えた二人は着替えをすべく、ドレスルームへとやって来ていた。
そこは色とりどりのドレスやタキシードは勿論の事、仮装で着用出来そうな衣装もふんだんにある場所であった。
入り口を開けた瞬間、両側に設置されたカラードレスの壁に七瀬のテンションは一気に上昇した。
「凄い〜! どれも素敵で、目移りしちゃう……!」
「お前が着たいと思う物を選べば良い」
「ドレスに埋もれちゃいそう。でも着たい色やデザインは決まってるから…あそこ同じ色の物ばっかりだね。あった〜青のコーナー!」
「青か……」
七瀬が手に取って見ているのは、淡い水色から濃い青色まで陳列されているドレス達だ。
「どんな体型の人に向くか、説明書きがわかりやすくカードに書いてあるのも配慮が行き届いてて良いね。私はマーメイドラインは向かないかなあ。背が高い蜜璃さんだったら着こなせそう」
「? そんな物なのか?」
義勇はドレスの細かなデザインがよく把握出来ず、終始脳内に疑問符がぷかぷかと浮かんでいた。