恋はどこからやって来る?/ 鬼滅の刃(短編・中編)
第62章 Halloween masquerade / 🌊・🔥
「サンタクロースに会いに行くのも良い」
「私も今同じ事思ってたよ。ロマンたっぷりの旅になりそう。まずはここでそれを先取りしようよ」
「ああ、そうだな」
二人はドレスハウスへと足を進めた。
★
「こんにちは、ご来店ありがとうございます!ようこそ、ドレスハウスbreathingへ。オプションプラン申込みの沢渡様ですね。ではまず本日宿泊されるお部屋にご案内致します。どうぞ、こちらへ」
二人がカウンターで受付を済ますと、施設従業員の女性スタッフが声をかけてくれた。胸ポケットの名前プレートに「綾瀬」と書いてある。
「動画で紹介映像を観た時も驚いたんですけど、実際に来てみると予想以上でした。圧倒されています……」
「恐れ入ります。ハロウィンが近いから仮装パーティー等で楽しみたいってお客様が本当に多くて。ありがたい事に連日盛況しております」
女性スタッフと談笑する七瀬の後ろから、やや気後れしたように後をついていく義勇は言葉が出なかった。
内装も外観同様、日常世界とは別世界と言った表現がよく似合う作りだった為だ。
『本当の宮殿に来たような空間だな…維持費等も大変であろう』
「私もここで働く前に、一度友人数人と訪れた事があるんです。スタッフはもちろん、お客様達皆さんが本当に楽しそうで。それで就職を決めちゃいました」
「わかります! ここに入った時から、それは感じていました」
義勇が無言の中、女子二人は部屋に着くまでトークを繰り広げた。
「荷物を置かれてすぐにいらっしゃっても構いませんし、少し休憩されてドレスルームにいらっしゃっても構いません。私はここで一旦失礼します」
「はい、ありがとうございました」
「………」
恭しく礼をした綾瀬は、元来た道を歩いて戻って行った。