恋はどこからやって来る?/ 鬼滅の刃(短編・中編)
第61章 注意せよ、その風に 〜He is gale〜 / 🍃
それから一週間後 ———
風柱邸に一人の男が姿を現した。専属隠の長友穂希(ほまれ)である。
「沢渡さん、初めまして! この家の隠をしている長友です。自分の怪我のせいで、風柱様とあなたにご迷惑をかけました。申し訳ありませんでした」
「初めまして、長友さん。沢渡です。迷惑なんてとんでもありません。ここに来てからと言う物、学ぶ事ばかりで……」
玄関先で初めて顔を合わせた七瀬と長友。初対面だが、二人は急速に親しくなっていく。その共通項は “実弥が好き・実弥を尊敬している” と言った物である。
「風柱様はあの見た目と言動から、とっても誤解されやすいのです。しかし、本来はお優しいお方。先日も主の本当の姿と言いますか、ご理解している隊士の方とお会いしました。私は本当に嬉しくて……」
洗濯をしながら、台所仕事をしながら、はたまた掃除をしながら。
継子と隠は実弥談義で話が盛り上がる。
「師範は本当に損してますよね。でもそう言う見てくれや体裁は全く気にしていない所が、私は芯がぶれなくてかっこいいなあと思います。稽古は厳しいんですけど、とっても楽しくて。ついこないだまでよく逃げ出していたんです……」
「炎柱様は継子志願される方がよく逃げ出す事で有名ですが、風柱様もまた違った意味で逃げ出す方が多かったんです。沢渡さんは初めての事例ですね!」
「あはは、それもよくわかります……!」
談笑が続く中あっと思い出したように隠はその場から立つと、玄関へと向かった。
七瀬は何も疑問に思わず、長友が用意したおはぎを食している。
「長友ー? いんのかァ」
そこへ頃合いよく帰宅したのは、今の今まで話の話題に出ていた実弥本人だ。